花粉症の基礎知識 2022.03.31 news 花粉アレルギーが起こる仕組み 人間には体内に侵入してくる異物から身を守る免疫機能が備わっています。花粉症の場合、免疫機能が植物の花粉を異物(アレルゲン)と誤認し、過剰に働いて体内に「抗体」を作ります。この抗体は花粉に接触するたび体に蓄積され、その人にとっての許容値を超えた時、くしゃみや鼻詰まり、目のかゆみなどのアレルギー反応を起こすのです。また、遺伝的な要素も大きく、生まれつきアレルギー体質の人は花粉症になりやすいといわれます。その上、食生活の乱れや睡眠不足、運動不足、ストレスなどが重なると免疫バランスが崩れ、花粉症がひどくなることがあるため注意が必要です。 花粉症を起こす植物の種類 日本で最も多いのはスギ花粉症。花粉症患者の約7割に上るといわれています。スギに反応する人はヒノキ科の植物に反応することが多いため、症状が長引く傾向にあります。次に多いのがイネ科植物による花粉症。カモガヤ、スズメノテッポウなどが該当しますが、お米の稲は花粉を遠くまで飛ばさないため、あまり影響はありません。また、ブタクサやヨモギといったキク科の植物も花粉症を引き起こします。北海道のような寒冷地ではシラカバによる花粉症も。スギやヒノキが冬から春にかけてピークを迎えるのに対し、キク科植物は秋が花粉飛散シーズンとなります。つまり、一年を通して花粉症になる可能性があるのです。なお、海外では欧州にイネ科、米国にブタクサ、北欧にはシラカバが原因の花粉症があり、日本のスギと合わせて「世界の4大花粉症」と呼ばれています。 花粉症の症状と新型コロナウイルス感染症の違い 花粉症(アレルギー性鼻炎)と新型コロナウイルス感染症の症状は、鼻水やくしゃみ、鼻詰まり(鼻閉)、味覚の変化など似ているものがあります。そのため、「この症状は花粉症? それとも……」と不安になりますよね。しかし同じ鼻水でも、花粉症の鼻水は透明でサラサラとしていることが多く、感染症の鼻水は粘り気があります。また、発熱や嗅覚障害がコロナでは鼻閉がなくても生じるのに対し、花粉症ではほとんどの場合、鼻閉を伴うなど、細かな点が異なります。しかし、自己判断は危険。「もしかして……」と思ったら、かかりつけ医のほか、厚生労働省や各自治体の指定する相談窓口へ相談を。花粉アレルギーがすでにある人は、薬などの治療で症状を抑えておき、変化に気づけるようにしておきましょう。 花粉を遠ざける外出前後の習慣! 花粉の飛散が多い時期は、眼鏡やマスクを着けて花粉が目や鼻につくのを防ぎます。そして家に帰ったら玄関に入る前に行いたいのが、洋服や髪の毛についた花粉を落とすこと。特にウールなど毛足の長いコートは花粉がつきやすいため、部屋に持ち込まないことがベストです。玄関にコート掛けを置くことができれば、そこに掛けておくと良いでしょう。また、帰宅後はなるべくすぐにシャワーや入浴を済ませ、体や髪についた花粉を洗い流すのが理想的です。掃除は比較的花粉の飛散量が少ない朝のうちに済ませるのがお勧め。床は掃除機をかける前にぬれたふきんで拭き上げると、花粉を舞い上げずに吸い取ることができます。部屋の空気を入れ替えるときは、窓を全開にせず少しだけ開けて、網戸やレースカーテンで花粉の侵入を防ぎます。換気もできれば早朝に行いましょう。洗濯物は部屋干しが基本です。外に干した場合は、室内に取り込むときにしっかりと花粉を払い落としてください。外干し後の布団は表面を掃除機で吸い取ると、ダニの死骸対策にもなりますね。洗濯の際に柔軟剤を使うと、静電気による花粉の付着が軽減できるのもポイントです。